✅裁判では浮気調査費用の請求は認められない?
探偵に浮気調査を依頼すると調査のために費用がかかります。もともとパートナーが浮気をしなければ発生しなかった費用なので、パートナーや浮気相手に調査費用を全額請求できると思っていませんか?
パートナーが素直に調査費用を払ってくれれば問題ないのですが、実際は支払いには応じないケースのほうが多いです。
○調査費用の請求を裁判所が認めるかはケースバイケース
パートナーや浮気相手に、探偵の調査費用を請求することは「任意」になります。
つまりは、法律的には「請求できる、できない」という決まりはなく、あなたが請求したいと思えば「請求できる」のです。
離婚や慰謝料を求める裁判で、パートナーや浮気相手に「浮気調査の費用」の支払いを命じた判例はあります。
しかし、調査費用はパートナーや浮気相手に請求すれば必ず認められるわけではありません。判例では、調査費用をパートナーや浮気相手に請求することを認める場合もあれば、認めていない場合もあります。
✅裁判で調査費用の請求が認められるための条件は?
どのような場合であれば、裁判所は浮気調査にかかった費用をパートナーや浮気相手に請求することを認めてくれるのでしょか。
○「探偵による調査が必要だったのか」が論点になる
裁判所が調査費用の請求を認めるのは、不貞行為の証拠をつかむために、「探偵の浮気調査が必要だった場合」に限られます。
・パートナーが浮気の事実をかたくなに否定していた
・パートナーが単身赴任などの理由で別居中のため調べようがなかった
・仕事や育児のため、パートナーを調べる時間を作ることができなかった
・探偵による浮気調査によって、初めて不貞行為が明らかになった
このような場合は、探偵に浮気調査を依頼しなければ、「浮気(不貞行為)の証拠を集めることができなかった」と裁判所が判断するため、調査費用をパートナーや浮気相手に請求することが可能になります。
✅調査費用の請求が認められない場合は?
探偵の調査費用をパートナーや浮気相手に請求することができるのは、不貞行為の証拠をつかむために「必要だった」と認められる場合だけです。
裁判所が浮気調査を「探偵に頼む必要がなかった」と判断すれば、調査費用を請求することはできません。
○パートナーが認めた後で余罪がないか調査した場合
例えばパートナーが浮気をしたことを認めているにもかかわらず、「他にも浮気しているのではないか」と考え、探偵に調査を依頼したとします。
もちろん、追加調査で「新たな不貞行為の証拠」が見つかれば問題ないのですが、何も見つからなかった場合、この調査は「不要な調査だった」だと判断され、パートナーに調査費用を請求することはできません。
浮気調査によって浮気(不貞行為)の証拠が見つかった場合に限り、調査費用を相手に請求することが認められます。
○夫婦関係がすでに破たんした上で調査を依頼した場合
すでに夫婦関係が破たん(別居等)している状態で、パートナーの浮気調査を依頼した場合も、費用を請求することはできません。
夫婦関係が破たんしているのであれば、あなたのパートナーが誰と不貞行為を行っていたとしても、裁判では浮気(不貞行為)と認められることはほとんどありません。当然、不貞行為と判断されなければ、浮気調査にかかった費用や慰謝料は請求することはできません。
✅調査費用の請求は認められる傾向にある?
パートナーと浮気相手はバレることを警戒しているため、「いつどこでと会っているのか」わからないことが普通です。浮気の証拠隠滅も徹底的に行われているでしょう。そのような状態で、素人のあなたが1人で浮気調査をすることは難しいでしょう。
さらに、パートナーに気づかれることなく尾行したり、ラブホテルの前で長時間張り込みをするなど、素人に簡単にできることではありません。
そのため、近年の裁判では、不貞行為の証拠を集めるには「探偵の調査は必要」と認識されるようになり、調査費用をパートナーや浮気相手に請求することが認められる傾向にあります。
○認められたとしても全額ではなく費用の一部だけ
裁判で調査費用の請求が認められたとしても、「浮気調査にかかった費用の全額を請求すること」はほとんど認められていません。残念ながら、調査にかかった費用のうち一部だけしか請求できないのが現実です。
例えば、探偵の浮気調査が100万円かかった場合、実際にパートナーに請求できる金額は、10万~20万円(1~2割)になります。
パートナーと浮気相手の双方に調査費用を請求したとしても、もらえる金額が変わることはありません。
✅浮気調査の費用は慰謝料に含めて請求する場合もある
浮気されたあなたはいわば被害者です。パートナーが浮気をしたことにより味わった精神的苦痛を理由に、パートナーと浮気相手に慰謝料を請求することができます。
裁判で浮気調査にかかった費用の請求がまったく認められない場合でも、慰謝料に「浮気調査の費用」を含めて請求することができます。
○慰謝料の相場はどれくらいなのか
浮気の慰謝料の相場は、数十万から500万円くらいだと言われています。金額に大きな開きがあるのは、条件によって変わってくるためです。
下記のような場合は、多額の慰謝料を請求することが可能になります。
・浮気の交際期間が長い(数年間)
・パートナーと浮気相手が同棲状態にあった
・パートナーの浮気相手が自分の友人といった身近な人間だった
加えて、パートナーや浮気相手が「積極的に性交渉を楽しんでいたのか」も重要な条件になります。こうしたケースであれば、200万円以上の慰謝料を請求できる可能性があります。
○浮気をするパートナーは必ず言い逃れをする
しかし、不貞行為の証拠がなければパートナーは浮気を認めないでしょう。
一度浮気相手とラブホテルに出入りする写真を撮れたとしても、パートナーは「酔った勢いで一度だけ関係を持ってしまった」と言い訳をするでしょう。一度の不貞行為だけでは、裁判所は離婚や慰謝料を請求することを認めません。
パートナーに言い逃れさせない、また慰謝料を相場よりも多くもらうためにも、不貞行為の証拠が必要になります。不貞行為の証拠は、探偵に浮気調査を依頼すれば確実に手に入れることができます。
○慰謝料でも調査費用は全額請求することはできない
ただし、探偵の調査費用を慰謝料に含める場合も全額を請求することはできません。探偵の調査費用によって異なりますが、「慰謝料の1〜2割程度」が相場となります。
パートナーと離婚しない場合は、浮気相手だけに慰謝料を請求します。
✅示談交渉なら浮気調査にかかった費用を全額請求できる
裁判では浮気調査の費用をパートナーや浮気相手に全額請求することは認められていません。仕方がないとはいえ、納得がいかないと思う方も多いでしょう。費用を全額請求する方法はないのでしょうか。
○示談交渉とは?
「示談交渉」であれば、調査にかかった費用を全額請求できる可能性があります。
示談交渉とは、当事者だけで話し合いをして、解決するというものです。裁判のように多くの人がかかわることがないので、費用がかからず、短期間で決着することもできます。
○示談交渉には不貞行為の証拠が「鍵」
パートナーと浮気相手に不貞行為の証拠となる写真や動画を見せれば、相手は言い逃れをすることができず、示談交渉を有利に進めることができるでしょう。
一般的に、パートナーや浮気相手は、裁判をできるだけ避けたいと考えます。不貞の証拠を複数枚見せられた時点で、逃げ腰になっている場合が多いので、交渉次第で調査にかかった費用を全額請求することができます。
示談交渉がうまくいかなかった場合、裁判になりますが、不貞行為の証拠があれば慰謝料請求を有利に進めることができるため、調査にかかった費用も回収することが可能になります。